歎異抄

第十七条 辺地往生を遂ぐる人つひには地獄に落つべしといふこと

第十七条 辺地往生を遂ぐる人つひには地獄に落つべしといふこと

〔本文〕  一 辺地往生をとぐるひと、つひには地獄におつべしといふこと。この条、なにの証文にみえ候ふぞや。学生だつるひとのなかに、いひいださるることにて候ふなるこそ、あさましく候へ。経論・正教をば、いかやうにみなされて候ふらん。 信心かけたる行者は、本 ...

〔本文〕  一 辺地往生をとぐるひと、つひには地獄におつべ ...

第十八条 仏法の方に施入物の多少に従って大小仏になるべしといふこと

第十八条 仏法の方に施入物の多少に従って大小仏になるべしといふこと

〔本文〕  一 仏法の方に、施入物の多少にしたがつて大小仏になるべしといふこと。この条、不可説なり、不可説なり。比興のことなり。 まづ仏に大小の分量を定めんこと、あるべからず候ふか。かの安養浄土の教主(阿弥陀仏)の御身量を説かれて候ふも、それは方便報身 ...

〔本文〕  一 仏法の方に、施入物の多少にしたがつて大小仏 ...

【後記】第一段 第一節

【後記】第一段 第一節

〔本文〕 但し、蓮如上人書写本の原本の段階から錯簡があったものと見なして校訂を試みた楠 顕秀氏の説に従って、順序を入れ替えてある  右条々は、みなもつて信心の異なるよりことおこり候ふか。 故聖人の御物語に、法然聖人の御とき、御弟子そのかずおはしけ ...

〔本文〕 但し、蓮如上人書写本の原本の段階から錯簡があった ...

【後記】第一段 第二節

【後記】第一段 第二節

〔本文〕  聖人のつねの仰せには「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとへに親鸞一人がためなりけり。されば、それほどの業をもちける身にてありけるをたすけんとおぼしめしたちける本願のかたじけなさよ」と御述懐候ひしことを、いままた案ずるに、善導の「自身 ...

〔本文〕  聖人のつねの仰せには「弥陀の五劫思惟の願をよく ...

【後記】第一段 第三節

【後記】第一段 第三節

〔本文〕  いづれもいづれも繰り言にて候へども、書きつけ候ふなり。 〔取意〕  どれもこれも同じことの繰り返しではありますが、八箇条の異義について、その背景である自力の計らいと、所論の問題点についてさまざま論じました。心配のあまり書き記すの ...

〔本文〕  いづれもいづれも繰り言にて候へども、書きつけ候 ...

【後記】第二段

【後記】第二段

〔本文〕  露命わづかに枯草の身にかかりて候ふほどにこそ、あひともなはしめたまふひとびと、御不審をもうけたまはり、聖人の仰せの候ひし趣をも申しきかせまゐらせ候へども、閉眼ののちは、さこそしどけなきことどもにて候はんずらめと歎き存じ候ひて、かくのごとくの ...

〔本文〕  露命わづかに枯草の身にかかりて候ふほどにこそ、 ...

【後記】第三段

【後記】第三段

〔本文〕  これさらにわたくしのことばにあらずといへども、経釈の往く路もしらず、法文の浅深をこころえわけたることも候はねば、さだめてをかしきことにてこそ候はめども、古親鸞の仰せごと候ひし趣、百分が一つ、かたはしばかりをもおもひいでまゐらせて、書きつけ候 ...

〔本文〕  これさらにわたくしのことばにあらずといへども、 ...

流罪の記録

流罪の記録

〔本文〕  後鳥羽院の御宇、法然聖人、他力本願念仏宗を興行す。ときに、興福寺の僧侶、敵奏のうへ、御弟子のうち、狼藉子細あるよし、無実の風聞によりて罪科に処せらるる人数のこと。 一 法然聖人ならびに御弟子七人、流罪。また御弟子四人、死罪におこなはるるなり ...

〔本文〕  後鳥羽院の御宇、法然聖人、他力本願念仏宗を興行 ...

蓮如上人識語

蓮如上人識語

〔本文〕  右この聖教は、当流大事の聖教となすなり。無宿善の機においては左右なく、これを許すべからざるものなり。 〔取意〕  この聖教は、わが浄土真宗本願寺の法流にとって、ことに重要な聖教とするものである。本願念仏の法に志のないものに対して ...

〔本文〕  右この聖教は、当流大事の聖教となすなり。無宿善 ...

『歎異抄』を読むに当たって

『歎異抄』を読むに当たって

一、著者 親鸞の晩年常随の弟子であった唯圓房。(一二二二      一二八九頃) 二、著作年次 親鸞没後二十年頃(一二八〇~一二八九)か。 三、真宗聖教としての本書の地位  カナ書きの聖教としては、これに先行し ...

一、著者 親鸞の晩年常随の弟子であった唯圓房。(一二二二 &nb ...