異義編(後八条)

第十一条  誓願不思議を信ずるか、名号不思議を信ずるか

第十一条  誓願不思議を信ずるか、名号不思議を信ずるか

〔本文〕  一 一文不通のともがらの念仏申すにあうて、「なんぢは誓願不思議を信じて念仏申すか、また名号不思議を信ずるか」と、いひおどろかして、ふたつの不思議を子細をも分明にいひひらかずして、ひとのこころをまどはすこと、この条、かへすがへすもこころをとど ...

〔本文〕  一 一文不通のともがらの念仏申すにあうて、「な ...

第十二条 経釈をよみ学せざるともがら、往生不定のよし

第十二条 経釈をよみ学せざるともがら、往生不定のよし

〔本文〕  一 経釈をよみ学せざるともがら、往生不定のよしのこと。この条、すこぶる不足言の義といひつべし。 他力真実のむねをあかせるもろもろの正教は、本願を信じ念仏を申さば仏に成る。そのほかなにの学問かは往生の要なるべきや。まことに、このことわりに迷へ ...

〔本文〕  一 経釈をよみ学せざるともがら、往生不定のよし ...

第十三条 悪をおそれざるは、また本願ぼこりとて、往生かなふべからず

第十三条 悪をおそれざるは、また本願ぼこりとて、往生かなふべからず

〔本文〕  一 弥陀の本願不思議におはしませばとて、悪をおそれざるは、また本願ぼこりとて、往生かなふべからずといふこと。この条、本願を疑ふ、善悪の宿業をこころえざるなり。 よきこころのおこるも、宿善のもよほすゆゑなり、悪事のおもはれせらるるも悪業のはか ...

〔本文〕  一 弥陀の本願不思議におはしませばとて、悪をお ...

第十四条 一念に八十億劫の重罪を滅すと信ずべしといふこと

第十四条 一念に八十億劫の重罪を滅すと信ずべしといふこと

〔本文〕  一 一念に八十億劫の重罪を滅すと信ずべしといふこと。この条は、十悪・五逆の罪人、日ごろ念仏を申さずして、命終のとき、はじめて善知識のをしへにて、一念申せば八十億劫の罪を滅し、十念申せば十八十億劫の重罪を滅して往生すといへり。これは十悪・五逆 ...

〔本文〕  一 一念に八十億劫の重罪を滅すと信ずべしといふ ...

第十五条 煩悩具足の身をもつてすでにさとりをひらくといふこと

第十五条 煩悩具足の身をもつてすでにさとりをひらくといふこと

〔本文〕  一 煩悩具足の身をもつて、すでにさとりをひらくといふこと。この条もつてのほかのことに候ふ。 即身成仏は真言秘教の本意、三密行業の証果なり。六根清浄はまた法華一乗の所説、四安楽の行の感徳なり。これみな難行上根のつとめ、観念成就のさとりなり。来 ...

〔本文〕  一 煩悩具足の身をもつて、すでにさとりをひらく ...

第十六条 信心の行者、あしざまなることを犯しては、必ず迴心すべしということ

第十六条 信心の行者、あしざまなることを犯しては、必ず迴心すべしということ

〔本文〕  一 信心の行者、自然にはらをもたて、あしざまなることをもをかし、同朋・同侶にもあひて口論をもしては、かならず回心すべしといふこと。この条、断悪修善のここちか。 一向専修のひとにおいては、回心といふこと、ただひとたびあるべし。その回心は、日ご ...

〔本文〕  一 信心の行者、自然にはらをもたて、あしざまな ...

第十七条 辺地往生を遂ぐる人つひには地獄に落つべしといふこと

第十七条 辺地往生を遂ぐる人つひには地獄に落つべしといふこと

〔本文〕  一 辺地往生をとぐるひと、つひには地獄におつべしといふこと。この条、なにの証文にみえ候ふぞや。学生だつるひとのなかに、いひいださるることにて候ふなるこそ、あさましく候へ。経論・正教をば、いかやうにみなされて候ふらん。 信心かけたる行者は、本 ...

〔本文〕  一 辺地往生をとぐるひと、つひには地獄におつべ ...

第十八条 仏法の方に施入物の多少に従って大小仏になるべしといふこと

第十八条 仏法の方に施入物の多少に従って大小仏になるべしといふこと

〔本文〕  一 仏法の方に、施入物の多少にしたがつて大小仏になるべしといふこと。この条、不可説なり、不可説なり。比興のことなり。 まづ仏に大小の分量を定めんこと、あるべからず候ふか。かの安養浄土の教主(阿弥陀仏)の御身量を説かれて候ふも、それは方便報身 ...

〔本文〕  一 仏法の方に、施入物の多少にしたがつて大小仏 ...