信心とは何であったのか

1. 「信」の字義

 漢和辞典を見ると、「信」は人と言から成り、発言者の言葉と心が一致していて、のないこと、また聞く人が発言者の言うことを「まこと」と思うことである。要は、発信と受信が真正な形で成り立つことをいうのである。発信側の訓が「まこと」 「のぶ」であ受信側のくんが、古語の「たのむ」「まかす」であったという。

 発言者が<まこと>を以て<まこと>を述べれば、聞く方は、相手の言うことを<まこと>と「受けとめ」、相手の言うところに素直すなおに「したがう」ということである。

 ここから、「信ずる」、「たのむ」、「まかす」という一連の用語が出てきたわけである。「信ずる」は「受信する」の意であったことが分かる。そして、「たのむ」「まかす」が、受信のあり方について用いられたくんであることはすでに先学の指摘によって明らかであり、「しんむ」「しんす」という表記が相応そうおうしい。

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