信心とは何であったのか

10. 如来からまかされているのはわたしたち

 移動手段や情報機器の発達によって狭くなった地球に住むわたしたちは否応いやおうなく多くの課題を背負っている。さまざまな差別、絶えることのない内戦や一部の貧困、気候変動と環境破壊、その上に核戦争の脅威きょういなどがうず巻いている。いずれも神や仏がもたらしたものではなく人間が生み出したものである。多くの他の生物が人間の生み出した弊害のために絶滅の危機にひんしている。

 これらの課題を自らのものとして背負ってゆかなければならないのはわたしたちであって、神仏ではない。「生かされているわたし」などと呑気のんきなことを言ってはいられない。自分たち自身が、地球上の魔物として多くの命を蹂躙じゅうりんしている現実から目をそむけてはならないのである。

 如来はすでにわたしたちのためになすべきことは成し終えて下さってある。それを力として、全人類的な課題と取り組むべきはわたしたちなのである。 <如来の真実をたのみ>とし、<如来の願いにまかせて>努力を重ねるべきはわたしたちなのである。如来からまかされているのはわたしたちなのである。

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